コロナ禍において一度は耳にしたであろう言葉、半導体不足。
身近なゲーム機やスマホなどに利用されることから、価格の高騰に腹を立てている人も多いことでしょう。
そして半導体が不足している理由について知らない人もかなり多いのではないでしょうか。
そこで今回は、何故今半導体は不足しているのかについて解説していきます。
需要が予想以上に高すぎた
半導体業界には”シリコン・サイクル”という言葉が存在します。

画像は少し古めですが、BBレシオというもので半導体の出荷額(billing)に対する受注額(booking)の割合を示しています。
そしてこの数値が4年周期で浮き沈みを繰り返していることが分かります。
これが” シリコン・サイクル “と言われるものです。
さて、ここで本題に戻りますが、時は2017年にまで遡ります。
2017年以降、車載システム、5Gスマートフォン、データセンターなど各方面で需要が高まっていきました。
しかし2019年頃から米中摩擦が激しくなり需要の雲行きは怪しくなっていきました。
ここに追い込みをかけるようにコロナウイルスが流行し、半導体に関わるメーカーは半導体の注文・生産を抑制させました。

シリコン。サイクルの考えで行くとこのまま半導体の需要は減ると多くのメーカーが考えたのでしょうね。

しかし予想は外れます。テレワークの普及によって半導体市場は急回復!
需要は高まり受注が増えるのに反して、コロナによる半導体操業停止があったり、TSMCのFab 12B P6(第6期拡張ライン)や旭化成マイクロシステム延岡事業所等で火災が発生したりと半導体不足に拍車をかける結果となってしまいました。
IT企業と違い、半導体メーカーと直接的な取引をする商習慣のない車メーカーなどは特に大打撃を受けました。
昨今の車は安全装備や運転支援機能がついており、半導体が不足している影響で納期が半年以上おくれているものもあるとのことです。

PC界隈だとGPUが発表時より1.5倍程の価格になりましたが、まともな方だったんですね。
味の素も関係!?
皆さんも食卓でお世話になっているであろう”味の素”。
意外にもこの企業が半導体不足にかなり関係しています。
ABFフィルム

味の素はABF(味の素ビルドアップ)フィルムという絶縁被膜を作っており、半導体を作る上で欠かせません。
そしてこのABFの世界シェアがほぼ100%なのです。
現在需要が高すぎる為供給が追い付かず、結果として半導体製造も遅延しているということです。
ExtremeTechによると、PlayStation 5やXbox Series Xの登場によってAMDのCPUやGPUの需要が急増したことで、2020年秋頃からTSMCがチップの絶縁体に用いられる「Ajinomoto Build-up Film(ABF)」の不足にあえいでいることが供給のボトルネックになってしまっているそうです。
PlayStation 5とXbox Series Xが半導体大手のTSMCの製造ラインを圧迫しているという報告 – GIGAZINE

日本が出遅れた感ある半導体、部品は日本にほぼ100%頼っているの何か面白いですね。
半導体不足はいつ終わる?
早くても2023年あたりになるのではないかなと個人的に予想しています。
2021年12月現在まだまだ世界はコロナが落ち着いていない状況ですし、日本でも今後第n波と続いていく可能性が大いにあります。
このまま2022年もコロナ禍が続き、テレワークなどで半導体需要は高まり続けそうですが、日本も含め多くの国が半導体の設備投資を現在行っているため半導体不足の解消はそう遠くない未来だと思っています。
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